The Engineering of Deduction

ロボティクスを学びたくて2浪までしたのに気がついたら医工学の研究をしている大学院生

【読書メモ】『素数はなぜ人を惹きつけるのか』(竹内薫)

素数にまつわる数学史が簡単にまとめられていて面白かった。「分からない数式は芸術作品のように鑑賞すればよい」という著者の姿勢が斬新で新鮮。
セミ の羽化周期が素数に偏る話は納得感があった。ゼータ関数の話も、初めは本流ではなかった研究が実は世界を記述する重要な研究であると分かり発展していく様子が興味深い。研究あるあるだと思った。
ゼータ関数について一切知らないので少し勉強しないといけない。

歴史的に素数階段を追い求めるために始まった研究は、こうして次第にゼータ関数の正体を明らかにしていくことに力点が移っていきました。
素数公式の研究という主旋律の研究が、いつの間にか伴奏のはずだったゼータ関数に移ってしまったのです。
ゼータ関数は、実は素数の問題だけでなく、原子を構成する原子核のエネルギーを表す公式や、物質をひもであるとみなす超ひも理論など、物理の問題にも頻出する非常に不思議な数式です。
素数の研究がゼータ関数の研究になり、その研究が実は物理学の研究とも深く関連してくる。そう考えると、人類がまだ知らない法則みたいなものが、このゼータ関数に隠されているのではないか、というミステリアスなイメージを抱かざるにはいられません。

 

途中に出てきたAIのチューリング試験の話は、開発エンジニアがずる賢くて面白い。

チューリング人工知能の哲学的な問題を浮き彫りにし、人間と普通に会話できる知能を1つの基準として提示しました。 つまり、コンピューターが知能を持ったと言えるためには、人間に気づかれずに会話に参加できればいいと考えたのです。
(中略)
2014年にチューリング試験をパスしたプログラムは、東欧の少年という設定で、英語のネイティブでない子供だから多少会話がおかしくても許されたようです。 そのため、プログラムそのものよりも、プログラマーの設定の妙に知能があったのではないかという批判も出ています。